「よりよい人間関係づくり  ―遊びやスポーツを通して― 」 鈴 木 敏 夫

子どもたちの中には、運動が苦手ということだけで友達の輪の中になかなか入れないことが結構ある。
なんでもないことのようだが、その子どもにとってはなかなか深刻な問題である。

「よりよい人間関係づくり  ―遊びやスポーツを通して― 」 鈴 木 敏 夫

明るい性格の子どもであっても、次第に学校生活全体が消極的になったり、自己嫌悪におちいったりして友達との人間関係がうまくいかなくなることがある。

子どもの成長にとって、良好な人間関係づくりは何よりも優先すべき問題である。

人とうまくやっていく社会性の育成は、何といっても学校教育が中心であり、中でも体育活動が効果的である。
自分たちでルールをつくり、ルールの中で運動を楽しもうと努力を重ねていく。

運動の種類によっては運動の苦手な子どものためにルールを柔軟に変えていくことができるようになる。
このように全員が楽しむことへの気付きが大切であり、これは遊びやスポーツを体験する中で芽生えることが多い。

子どもは人前で失敗したり、ぶざまな姿をさらけ出すことをいやがるが、遊びやスポーツは「ドンマイ」の精神でみんなに許容され、次第に気にならなくなる。

子どもの健やかな成長を願って、学校体育を中心課題として進めてきた事例の一端を紹介する。


学級対抗リレーを毎月学校全体で行い成果をみんなで確認し合ってきた。
このリレーの運営で配慮してきたことは、他のチームとの順位争いの他に、自分たちのチームの前回の記録よりどれだけ伸びているかを、第一にして競わせた。

二つ目の配慮は、スポーツテストの50m走の記録を考慮して慎重にチーム分けした。

三つ目の配慮は走力の低い子どものハンディをどれだけにするかということである。

このハンディをどれだけにするかは学級全員で話し合い、納得の上で決めさせた。
低学年は教師の慎重な助言が必要であったが、高学年はすべてを子どもたちにゆだねた。

実はこの話し合い活動が自他を尊重する重要な体験になり人権感覚の芽生えになる。
この月例リレーが定着するようになって子どもたちは結果に一喜一憂すると同時に、チームワークが非常によくなり、時期が近づくと自主的に練習するようになってきた。

走る順番を変えたりバトンの受け渡しを工夫したりして作戦に熱が入るようになってきた。

身近な目標を共有することにより連帯感や絆のようなものが芽生え、リレー以外の場面でも仲良く協力する姿が見られるようになってきている。

このように話し合ったことを実行して確認することは、人権感覚を磨くことに大いに役立ち、身に付いていくものと確信している。


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