「テューバ吹きのタビーちゃん」 という曲をご存じでしょうか?
2013年3月3日に静岡県人権・地域改善推進会の主催により行われた「Heartful Time on ひなまつり」というイベントで、 私たち静岡吹奏楽団は、 人権を考える教材としてこの 「テューバ吹きのタビーちゃん」 の演奏を行いました。
原曲名は 「Tubby the Tuba」、 ジョージ・クレイジンガー作曲、 オリバー・ブリュンドゥル編曲によるもので、 演奏に物語がついています。
「僕もブンバンやるばかりじゃなくみんなのように素敵なメロディーを吹きたいよ~」 と、 いつも伴奏ばかりで目立たない金管楽器で最も低い音域を担当するテューバ吹きのタビーちゃんが、 「へたくそ!」 「じゃまするな!」 と楽団のみんなからからかわれながらも、 ピッコロのピーポやカエル君に励まされ、 やがて、 オーケストラでソロを担当するまでに成長するという物語で、 登場人物が怒ったり励ましたりする感情を楽器で表現していきます。
私たち静岡吹奏楽団の活動でも、 メンバーそれぞれの楽器が、 それぞれの役割を担当し、 曲をつくっていきます。 ひとつの曲を演奏するためには、 どんな楽器もなくてはならないものなのです。 これは人間の社会にもいえることではないでしょうか。
近年、 いじめが社会問題化し、 新聞、 テレビ、 週刊誌などマスコミでも多く取り上げられています。 この音楽物語は、 小学校などでの 「いじめ」 がいけないことを学ぶ教材にも使えるかもしれません。
文部科学省では、 いじめの定義を
【個々の行為が 「いじめ」 に当たるか否かの判断は、 表面的・形式的に行うことなく、 いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。
「いじめ」 とは、 「当該児童生徒が、 一定の人間関係のある者から、 心理的、 物理的な攻撃を受けたことにより、 精神的な苦痛を感じているもの。」 とする。 なお、 起こった場所は学校の内外を問わない】
としています。
日本社会からいじめの発生を極小化させるためには、 「自尊感情を育むこと」 で、 この感情が低いと、 いじめにつながるといわれています。
この 「自尊感情」 とは、 「自分の価値を認めること」 「自分を好きだと感じること」 「自分を大切にすること」 といった自分の存在を肯定する意識のことです。 この意識は自分自身の生きる力になり精神的な安定にもつながっていきます。 「自尊感情」 の高い人は、 異なった価値観をもつ他者に対しても寛大に受け入れることができる為、 豊かな人間関係を形成することができるのです。
私たち静岡吹奏楽団の活動は、 練習の過程を通して真実の友情に触れ、 メンバー全員が協力して一つの演奏を仕上げていく、 音楽ならではの感動と喜びを、 心と体で体験することができる場であり、 こうした音楽活動の波及効果により普段難しく考えがちな人権を身近な親しみやすいものとし、 一人一人が人権に対する理解を深める第一歩となれたら嬉しく思います。
(静岡吹奏楽団理事長)