「私の子育て」 古山 修子

私は、 ケニアで夫と四歳の長女と一歳の次女と暮らしている。

「私の子育て」 古山 修子

「ケニアに住んでいる」 というと、 「大変ねー」 と言われることが多い (「いいわねー」 と言われることも時々あるが) が、 実は非常に子育てがしやすい環境である。

何がいいかというと、 まず①一年中気候が穏やかで、 結構広い庭もあるので、 子どもたちが毎日外で遊ぶことができる。

また、 ②お国柄なのか老若男女みんな子どもが大好きで、 レストラン、 お店、 どこへ行ってもかまってくれる人がいるし、 ちょっとくらい汚したりいたずらしても、 みんな 「子どもだから」 と言って笑って許してくれる。

そして共働きの身としては何といっても一番いいことは③ナニー※さんを安く雇えることである。 国民の教育水準がそこそこ高く、 一方で変なプライドは持ってないので、 比較的信頼できるナニーさんが見つかる。 自宅でみてくれるので急な残業が入っても心配がない。 最悪、 夫と出張が重なってしまっても短い期間ならナニーさんが泊まって子どもたちの世話をしてくれる。

こんなわけで、 小さい子どもがいるのに楽しく仕事を続けられるのは、 アフリカに暮らしているからだし、 良いナニーさんに巡り会ったからだと思う。

とはいえ、 悩み事がないわけではない。 今の仕事は勤務時間が長く出張も多い。 私が寂しくて、 夫が大変なだけでなく、 最近は長女も少しずつ物心がついてきて、 「ママが出張でいなくなる」 ことを寂しがり始めた。 ある日こっそり父親に 「ママはもう出張に飽きてくれればいいのに」 と言ったとのこと。 (直接私に言わないのが恥しがりやで我慢やの長女らしい) 今は幼い次女もいずれは言い出すだろう。

ナニーさんがいるから歯止めが利きにくいというのは贅沢な悩み事ではあるが、 仕事と家庭のバランスを自分自身の意志と責任でとっていくのはそう簡単なことではない。

子どもと過ごす時間が短いとなると、 躾をするのも難しい。

我が家は国際結婚家庭で、 二人の祖国ではないケニアに住んでおり、 「娘さんは国際人だねー」 とよく言われる。 でも真の国際人とは、 何カ国語もしゃべれる人のことではなく、 パスポートを複数持つこととも違う。

子どもたちには、 世界にはいろいろな人がいて、 いろいろな価値観・意見を持っていて、 誰が偉いというわけではないことを理解してほしいと思っている。 このことは、 実は途上国に住んでいると気をつけないと難しいことである。 自分は、 他の国の人たちより身分が高いと思い込んでいる外国人の子どもを結構見かける。

子どもは親の言うことは聴かないが、 親のすることは真似るという。

私は、 例えば長女がナニーさんに横柄な口の利き方をしているときは厳しく注意するようにしているが、 まずは、 自分の身から、 日ごろから人との接し方には心しなければと思っている。

 ※ ナニー 子供の世話をする女性
(ケニア・ナイロビ在住)


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